寒参り

2007年1月17日
南国暮しの身には、あまりそうは感じられないのですが、暖冬なんですよね
友人からのメールに、冬の寒さが厳しい時には、電車から雪かぶった富士山の美しい姿がくっきりと見えるのを、楽しみに眺めているのに、今年はぼんやりと霞んでいることが多くて、がっかりしていると書いてあったから、やっぱり暖かいのでしょう
まだこれから大寒だというのに、昨日などは、立春よりも啓蟄に近いような外気温で、桜の木には、既に沢山のつぼみがふくらんできていますし、家の蘭の鉢にも、花芽がどんどん育ってきています
子供のころに暮らしていた家は、鎌倉に多い、谷戸と呼ばれる小高い丘にはさまれた狭い細道の奥にある、広い庭に囲まれた一軒家でした
谷戸の突き当りには、小さなお社があって、大寒の間は、毎晩白装束の人達が、ちょうちんを下げ、口々にお経を唱え太鼓をたたきながら寒参りに来ていました
冬の夜はさびしくて、ただでさえ、何者かが庭の茂みの中に潜んで様子を伺っているように感じられるのに、闇の中にゆれるこの寒参りの灯りと太鼓の音は、子供心にとても不気味で、この世のものとも思えず、人々が足早に家の前を通り過ぎて行くのを、母にしがみつきながら、カーテンの陰からこっそりと覗き見をしたものでした

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