原風景

2005年12月5日
昨日は、日本に戻って初めての雨の日でした
雨と言っても、霧雨から土砂降りの雨までいろいろあるし、国によっても降りかたがちがうと思うのですが、日本では、やさしい降り方をする雨が多くて、どことなく女性的な感じがします
雨降りというと、いつも必ず心に浮かんでくる情景があります
春先の鎌倉の、御成町から銭洗い弁天に行く旧道の途中にあるトンネルの入り口と、あたりの芽吹いたばかりの新緑としっとりと湿った腐葉土
鎌倉は、生まれて以来20数年間ずっと暮らしていたところなのですが、今では一戸建ての高級住宅やおしゃれなレストランや高級品店が建ち並んでいる一方、平日でも地図やカメラを持って歩き回る人々が大勢あるので、住宅地のなかでさえ賑やかで、そういう人達が立ち寄りたいと思うような、いかにもそれ風の飲食店やらおみやげ物店等がひしめいていて、ミニ京都みたいになってしまっています
昔は全く違っていて、八幡宮や大仏などの主な観光地以外の場所は、人通りも少なく閑静で、市の周辺の山々が乱開発で分譲住宅地に姿を変えてしまう以前には、鎌倉時代にも、きっとこれとそう変わらない四季折々の心に染みる自然の風景があったのだろうなと容易に想像できるような、山や海の佇まいが残っていたのです
もう二度と取り返せない、本当に価値のあるものを、人間はどんどん破壊していってしまうのだなと、当時、梶原山が消えていくのを見ながら、子供心にも焦燥感を感じたことを思い出します

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