卒業式

2005年5月30日 海の向こうで
カレンダーが、実際のアメリカの日付と一日ずれているのが、どうしても気になってしまうのですが、卒業式は実際には現地の 5月29日 日曜日 に行われています
前述したように、アメリカの大学の卒業式というのは、子供達が社会に出て自立する前の儀式のような感じで、両親はもちろん、家族、親戚、親しい友人等大勢が、わざわざその為に遠路はるばるやって来る一大イベントです
5月最後の日曜日、爽やかに晴れ渡って、清々しい朝です
式は11時からで、父兄は9時までに式場のフットボールスタジアムまで来てください とのことですが、卒業生数の何倍もの人数が観客席に入るのだけでも、相当時間がかかりそうで、場所取りだって大変です
次女は友人達から、一緒に写真をとる最後の機会だから早く来てねと言われていて、経験者である姉のアドバイスを聞きながら、ガウンの下に着る服を決めて、帽子をしっかりかぶってガウンをはおって、私達を気遣ってスタジアムへの行き方や式が終わったらどこに行くかということなど細かく指示してから、出かけて行きました
私達も良い席を確保しなくてはと、早めに出たのですが、スタジアムに向かう人たちが道に溢れていて、これなら道順を知らなくても絶対に迷いませんね
スタンド席は既に半分以上埋まっていましたが、生徒達が入場してくる所を正面から見られる良い席に、運よく座ることが出来ました
周りの人達は皆大勢のグループで、派手な民族衣装を着ている人たちもいます
しばらく待っていると、入場が始まって、来賓や教授、職員に続いて、博士課程を先頭に卒業生達がグラウンドに入場してきて、スタンドは興奮の渦です
皆何とか自分の子供を見つけてカメラに収めようと必死です
子供達も、携帯で居場所を連絡しながら歩いているのは当たり前で、目立つようにと帽子に模様をつけたり、風船を持ったり、ぬいぐるみを抱えている子までいます
長女の時には、博士課程、修士課程とガウンの色が違って、一番人数の多い大学卒業生達は、スクールカラーの赤いガウンで、皆そのガウン姿でボストンの街を歩いているので、普段は暗い色調が多い街がとても華やかになって、卒業式のガウンはどこも黒だと思っていた私には、とても新鮮で素敵に見えたものです
実はコーネルのスクールカラーも赤なのですが、でもガウンの色は黒で、学部ごとに帽子から下げるタッセルの色が違っています
今回は娘の卒業の他に、もうひとつ是非見届けたいと思っていたことがあります
それは、タイの現皇太子の最初のお子様である第一皇女様が、法学部博士課程の成績最優秀者として卒業されることです
この皇女様は、最初のバンコク駐在の時に、息子がトロフィーをいただいた水泳大会や長女が出たファッションショーやバレエなど、色々なところにご臨席だったのを拝見していて、その後ご両親が離婚されて、どうしておられるのかと時々思い出していたのが、偶然にも次女と同じ大学で同じ日に卒業されるということがわかって、感慨深いものがありました
入場の時に丁度私達の前を通られたのを見ると、元々小柄な方ですが、ほっそりと美しい姿に成長されていて、正面の特別席におられるお母様に向かってうれしそうに手を振っていらしたのが、印象に残りました
次女もクラスメイト達と楽しそうに歩いていて、素敵な笑顔をしていました
スターウォーズを例に挙げての校長先生のお話は、何だか無駄に長かったような気がするのですが、でも最初に、あなた達が今日無事に卒業できたのは、これまで支えてくれた家族や関係者の方達のお蔭だから感謝しなければいけません と言われた時に、生徒達から一斉に歓声と拍手が起こったのには、日本では絶対に無いことだと感動しました
全体での式が終わった後は、学部ごとに分かれて、中庭の芝生に張られたテントの中で、一人一人に卒業証書の授与と成績優秀者の表彰が行われたのですが、その途中でものすごいスコールが降ってきて、地面がぬかるみになってしまって大変でした
式が終わってから、用意されたフルーツやケーキなどを食べながら歓談して、娘から友人やらその家族やらを紹介してもらったり、昨年ローマに娘を訪ねた時のルームメイトや仲間達にも再会して、楽しいひと時を過ごしました
次女は、晩御飯は家で食べるけど、そのあとで、クラスのみんなとお別れ会をしようということになったから行っても良いかなと言うので、それじゃぁ長女と私は、キャンパス内のまだ行ってないところにお散歩に行こうということになって、あんかけカタヤキソバと大根の煮物のご飯を食べた後、ノースキャンパスのほうにでかけました
冬に凍ってしまうとまるで天然シャンデリアのようになる滝や教職員の宿舎になっている住宅や学生寮、次女のお奨めキャフェテリア等を見ながら、天文台を通って、コーネルプランテーションの片隅にあるハーブガーデンまで行った頃には、辺りは薄暗くなりかけていたのですが、道を曲がったとたんに目の前で鹿が木の葉を食べているのにバッタリ出くわしてしまってびっくりです  コーネルワイルドライフですね
牡丹の花が真っ盛りで、ベンチが置かれた古風なハーブガーデンもとても魅力的だったのですが、次女に、くれぐれも真っ暗になるまでに戻ってくるようにと言われていたので、心残りですが、短時間で切り上げて、帰りを急ぐことにしました
帰り道で丁度9時になった時に、次女からちゃんと迷わないで帰っているかどうかと電話が入って、どっちがお母さんだかわからないねと、長女と二人で笑ってしまいました
もう今夜のうちから大学を離れる人たちが大勢いて、道路には引っ越し荷物を車に積み込んでいる家族の姿があちこちにあります
次女は、大勢の友達との別れを惜しんでいて、これからはしばらくさびしい思いをするのだろうなと思いました

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